紹介しちゃうのでございます

2011/03/06

“失敗できる”というのは、実は幸せなこと

 ここのところずっと、読みふけっている本がございます。『失敗百選』という本なのですが、とにかく世の中の失敗を集めて、その原因と失敗への過程を記述してるのでございます。下町の工場でのちょっとした事故から、原発やスペースシャトルの事故まで、あるいは自然災害までもが、この本の題材になっております。自然災害まで“失敗”に含むのを「あれっ?」と思うかも知れませんが、その自然災害に対する備えや対応には必ず人間が関わってまいりますので、その人間との接点に失敗が介在する可能性は出てくるのでございます。

 バラエティー番組で、「○○事故、その衝撃の真実」とか「あなたの身近の危険!」なんていうよくあるタイトルの番組、あんなんで紹介されている題材が、この本には次から次へと出てまいります。この本を数ページ読むと、そんなバラエティー番組のエピソードをひとつ見たのと同じぐらい楽しめる。もうね、ワタクシにとってはおもちゃ箱のような本でございます。そんな世界中の事故を読みふけっているときに起きたのが、ニュージーランドの大地震でございます。日本政府の対応にもちょっと注文があるのですが、それはまた別の日にいたしましょうか。

 で、話を「失敗」に戻しましょう。ワタクシ自身、失敗を防ぐ工夫というのは好きでございます。人間に失敗させない工夫というのは、道具や機材の基本デザインに結びついてくるのでございます。失敗が起こりにくいデザインを追究すると、人間と機械との接点がどんどんシンプルになり、そこに“機能美”が生まれる。この機能美というのが、ワタクシは大好き。何気ないように見えるデザインに、周到な計算が施されている、そういう所にデザイナーやエンジニアの“美学”を感じられるのでございますね。

 ワタクシのお店の中でも、この「失敗を防ぐ工夫」はいろいろやっております。例えば、レジでのお会計。お金を載せるお皿をカルトンというのですが、そのカルトンを2枚用意して、お客様から頂くお金とお返しするお釣りは別々のカルトンを使っております。このお金の出入りをひとつのカルトンでやり繰りいたしますと、お釣りの渡し忘れ事故が非常に発生しやすくなるのでございます。そこで、ふたつのカルトンを使い、まるで捕まえたスパイの交換儀式のごとく、入ってくるお金と出ていくお金を同時に入れ替えることで、うっかりミスを防ぐのでございます。

 普通の店舗ではカルトンひとつで特に問題ないと思うのですが、なぜかワタクシのお店の場合、定期的にお釣りの渡し忘れの事故が発生したのでございます。そこで、その事故のメカニズムを追究いたしますと、お金をレジに入れたタイミングで同時にお客様に話しかけられると、渡し忘れ事故が発生しやすいようでございます。その結果、先にお釣りをお渡ししてからお金をレジに入れるという手順に変更。カルトンを2枚使う手順が生まれたわけでございます。なんというか、こういうメカニズムを分析して改善していくのって、好きなのでございますよね。企業のこういう部署に就職していたら、出世したかも知れませんね。

 あと、お店とは関係ないのですが、ワタクシが長年言い続けていることがございます。エレベーターの「開」と「閉」のボタン。あれはちょっとした規格ひとつで、押し間違いを劇的に減らせるはずでございます。厳格な規格で統一させる方法もあるでしょうが、ワタクシの考えでは、たったひとつのルールで十分。「“開”ボタンは“閉”ボタンより大きくなくてはならない」というルールひとつで、全然違ってくるはずでございます。これならば、直感的に押し間違いを防ぐ効果があるとともに、エレベーターの設計者のデザイン自由度も損なわなくてすむのでございます。また既存のエレベーターにも、「開」ボタンの上に貼るアタッチメントを付けることで対応できそうな気がする。さて、どんなもんでしょうかねぇ。

 そして最後に、ちょっと怖いお話しを。この本は人間の起こす失敗を41種類に分類し、その41番目に「テロ」という項目を設定しております。「失敗」であれば「起こしたくない」という気持ちが働きますよね。ですからこの本のように、失敗例をデータベース化し検索できるようにすることには意味があるのでございます。ところがテロの場合は、“意図的に起こす失敗”ですので、失敗例のデータベースが全く役に立たないどころか、テロリストにヒントを与えてしまうことにもなりかねない。だからといってこういった失敗例を非公開にしようとする動きが出ると、それはそれでリコール隠しのような事件を起こす下地を作ってしまう恐れがある。

 さらにこの著者は、「テロ」の項目の中に「絶望感を持った若者の“道連れ犯罪”」をも挙げております。テロリストや自暴自棄になった若者には、街中のありふれた道具や交通機関など全てのものが、凶器となり得るのでございます。そして、もし設計エンジニアがテロリストや自暴自棄の青年まで考慮に入れて設計図を引かなければならないとしたら、エンジニアの仕事は非常に苦しいものになると、最後に締めくくっております。

 この本を読み終えた後、「“戦争”は人間による“失敗”ではないのか?」なんて思ったりいたしました。戦争を防ぐ抑止力として、「軍事力」や「外交」というものがございます。しかし、この軍事力や外交が効果を発揮するのは、対立する国家がお互いに「死にたくない」と思っているからでございます。ですが、テロリストはどうでしょうか? 最初から死ぬ気で行動を起こすテロリストには、軍事力も外交も通用いたしません。人類は動物と違い、“知恵”を働かせて進歩し、工夫してまいりました。しかし人類は今や、テロリストや自暴自棄の若者といった人類の知恵では防ぎようのないものと戦っていかなければならない時代に突入しているようでございます。

 さてさて、この『失敗百選』という書籍、続編もございまして、それぞれ400ページ近い厚さがあり読み応え十分なのですが、お値段もちょっと高め。でも、工業デザインに携わる人や企業の危機管理者などには必読の本だと思います。もし、よろしければ、どうぞ。

Shippai●中尾政之著
 『失敗百選〜リコールと事故を防ぐ60のポイント』
  森北出版株式会社 410ページ ¥3,600

●中尾政之著
 『続・失敗百選〜リコールと事故を防ぐ60のポイント』
  森北出版株式会社 394ページ ¥3,600

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2007/09/28

報道カメラマンの死、二様

ミャンマー(旧ビルマ)で日本人の報道カメラマンが亡くなりましたね。ニュースでは「流れ弾」って言ってますが、亡くなった瞬間の映像を見る限りでは、明らかに至近距離から兵士に撃ち殺されてますよねぇ。その衝撃的な映像が、朝からテレビで流されまくっておりました。カメラを持っていたので、狙われたのでしょうねぇ。危険を覚悟の上でのミャンマー入りでしょうからある程度は身構えてはいたでしょうが、あんなに呆気なくやられるとは、ご本人も思っていはいなかったでしょうね。ご冥福をお祈りいたします。

さて、同じ報道カメラマンですが、全く違う死に様をした方もいらっしゃいます。「鴨志田穣(かもしだ ゆたか)」さんという方でございます。漫画家「西原理恵子」さんの(元)旦那さんでございます。この鴨志田さんも報道カメラマンとして、ミャンマー、タイ、カンボジアなどを巡り歩いております。特にミャンマーでは出家して、僧侶になったりしているそうでございます。まぁこれには、入国ビザを撮りやすいためにとの説もあったりしますけどね。

西原理恵子さんと鴨志田さんの間には、子供二人(息子と娘)をもうけることになるのでございます。しかし鴨志田さんにはアルコール依存症(+暴力)という持病がございまして、その持病が原因で離婚することになってしまいます。彼はアルコール依存症をみごと克服するのでございますが、その頃には、鴨志田さんが癌の病に冒されていることが発覚してしまうのでございます。まぁ、何ともついてない人生の男性でございます。

鴨志田さんのアルコール依存症の克服、そして癌との闘病生活には、西原理恵子さんの援助がかなりあったそうでございます。離婚していながらも別れた旦那を助けてしまうあたり、西原女史の人となりがよく分かるのでございます。西原理恵子の漫画を読んでいると、その旦那への愛情(腐れ縁が半分?)がよく伝わってまいります。旦那に対するきつい言葉の裏腹に、ちゃんと相手を思いやる柔らかい気づかいが、ページのすみっこの方にちょこっと感じられたりするのでございます。

そしてこの(元)夫婦が二人の子供をこよなく愛していること、そしてそして、子供達も微妙な関係の両親のことを気づかいながら、その両親の愛情に応えていること。ガチャガチャしてはいますが、そんなほほえましい家族の姿が、西原女史の漫画からは伝わってくるのでございます。ただひとつ、他の家庭と違っているのは、「父親が癌に冒されている」ということでございます。

Fi1190966870578t_0e西原理恵子の『毎日かあさん』の最新刊(第4巻)を読むと、その父親が帰ってきてから(天国へ)見送るまでの半年間のことが、他のエピソードとともに盛り込まれて描かれております。不器用な生き方をしてさんざん家庭に迷惑をかけてきた男性が、最後に家族の愛情に囲まれながら、見送られております。

様々な危険をくぐり抜けておきながら、癌という病にあっさり冒され、家族に看取られながら死んでいく男...危険のまっただ中で呆気なく異国で殺されてしまった男...ミャンマーで亡くなられた長井健司さんの訃報を聞いて、同じ報道カメラマンではありながら、まったく違う生き様をしたこの二人のことを、思いめぐらしたりしておりました。名古屋薫でございました。

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2006/10/16

オカマでOLな人の紹介でございます

Fi1161008322985t_0e_3本日はお店の出張面接で、日帰りで東京まで往復したのでございます。ニューハーフ業界は慢性的な新人不足でございます。前回も申しあげましたが、女装者・性転換者が、自身の生業(なりわい)に困らない時代が到来しつつありますので、わざわざニューハーフというカマカマしいお仕事に身を投じる若者は少ないのでございます。そこで、各地へ定期的にこちらから出向いて面接をするわけでございます。

東京へ行くと、必ず上野公園の不忍池へ寄ることにしております。不忍池は、訪れる季節ごとに、その気色がガラッと変るので、毎回楽しみでございます。また、上野公園のノビノビとした猫ちゃんも、またよろしいのでございます。

そんな日帰り出張の帰り道、東京駅の書店でこんな本を見つけましたのでご紹介するのでございます。

Okama_ol『オカマだけどOLやってます』(能町みね子著 竹書房 ¥1,000)

130ページほどの本でございまして、帰途の「のぞみ」の車中での1時間40分で、すっかり1冊読み切ってしまったのでございます。著者自身の「オカマだけとOLやってます」というブログ内での書込みを書物化したものだそうですが、なかなかに文体が面白い。そこへ持ってきて、これまた挿絵のイラストが面白すぎる。そしてさらに、著者自身のアッケラカンとした生き方が、また面白い。

性同一性障害(あぁこの単語めんどくさいな、長くて)とか、オカマとか関係なしに、純粋にドタバタ劇として楽しめる内容でございます。いやむしろ、この内容から連続ドラマ、あるいはコメディー映画の一本ぐらいは作れそうです。そして、この著者と同じように、性同一(以下略)の人で普通の社会生活を目指している人には、よいヒントが盛りだくさんでございます。まぁ、ワタクシにとっては、今まで自分が体験してきたエピソードも多く、「あぁ、よくあるよね、こういうこと」なんて感じで読んでたんですけどね。

というわけで、今回は本の紹介だけでございます。ではでは。


ブログ「オカマだけとOLやってます」
http://ameblo.jp/knowmatch/

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2001/04/06

性転換のススメ

お久しぶりでございます。名古屋薫でございます。

「メーマガはまだか」「メーマガはまだか」というご意見を何度となく頂いております。気が付くと半年に一回の「盆と正月メールマガジン」になっているのでございます。

さて、いろいろな方からワタクシ、メールを頂くのでございますが、その中には性転換願望の方も決して少なくございません。これだけ、「性転換」や「性倒錯」という言葉が一般化してきても、やはり「餅は餅屋」なのでございます。性転換のことを聞くならニューハーフって感じなのでしょうか?

その、ワタクシに相談していらっしゃった方は性転換というよりは“去勢”願望なのでございます。ただ、奥さんも子供さんもいらっしゃって、平和な家庭(かどうかは分かりませんが)を築いていらっしゃるご様子。お歳の頃は四十過ぎ。そのいいお父さんが「金玉を抜きたい」と言って相談していらっしゃったのです。

その男性、おそらく幼少の頃から性転換願望のようなものが潜在していらっしゃったのでしょう。その性転換の小さな固いつぼみが、四十歳を過ぎてから花開いてしまったのでございましょう。ただ、ワタクシ気になるのは、その男性が「去勢をすればすべて解決する」と思っていらっしゃることでございます。

人の身体というもの、四十年も使い込んでいれば、十分(この場合男として)固まってしまっております。その失った過去が、去勢という荒療治で取り戻せるいうものではありません。去勢手術をしたところで、特に身体が女っぽく変身するとはとうてい思えないのでございます。変身どころか、何も変わらないまま新たに問題を抱え込むことになるはずなのでございます。

ワタクシ名古屋薫も、若い頃(笑)は性転換願望が大変強くてございました。ところが、ながねん‘女’を演(や)っておりますと、アソコの形などはどうでも良くなってしまったのでございます。重要なのはアソコの形ではなく、歩き方や身のこなし、立ち振る舞いなのでございます。女として社会生活を営んでいるうちに、“社会的に性転換”をしてしまったのかもそれません。

話は戻って、先ほどのお父さん。このお父さんが去勢手術をして、(いかにも)女っぽい格好をすることは簡単でございます。しかしながら、女として社会生活をするということとは全くの別問題なのでございます。つまり、「ご本人が女として納得して生きる」ことよりも、一般社会と折り合いをつけながら行動し、「周りの人を納得させる生き方」の方が重要なのでございます。

さてさて、今回このような話題を取り上げさせていただいたのは、最近、このような去勢や性転換に関するお問い合わせが多くなってきたからでございます。そこで、全国の性転換願望の皆様方へ、ある本を紹介させていただくのでございます。

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『図解 性転換マニュアル』
 〜カウンセリング、ホルモン療法から各種手術、戸籍の変更まで

  性の問題研究会著 223頁 定価1300円+税
  同文書院 ISBN4-8103-7692-3
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性、あるいは性転換に関して、医学的、社会的、そして法律の問題にまで書き及んだ良い本だと思っております。ご自分の性に疑問を持っていらっしゃる方、性転換、あるいはニューハーフ願望のある方などに良いアドバイスを与えられる本ではないでしょうか。餅は餅屋、もしお悩みの方がございましたら、その筋のお悩みはその筋に相談するのが一番なのでございます。

では、久しぶりのメールマガジン、今回はこのへんで。お待たせいたしました読者の皆様方、失礼いたしました。

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