真面目な人までも腐らせてはいけません
最近は民放のテレビ番組が軒並み予算不足のせいでつまらなくなっておりますが、その一方で、金に糸目を付けない番組作りをしている放送局がございます。NHKでございますね。NHKの番組には、「予算を気にしている」という感じはあまりいたしません。まぁ、ある意味、「NHKでなければ作れない番組」なんてものが有るわけで、そういった番組作りをしていくというのは、「受信料」という“ある種の税金”のようなもので運営されている「公共放送」として、その責任を果たしていると思うのでございます。
で、今、話題になっているのが名古屋場所の生中継の中止。それに対して白鵬が意見してましたねぇ。温厚で普段から慎重な物言いの白鵬が、実に大胆な発言をしておりました。「大相撲の中継を世界中が楽しみにしている」という白鵬関の言葉は、外国人ゆえのグローバルな考え方でございますよね。了見の狭い日本人は反省すべきところがございます。了見が狭いというか、日本人独特の全体主義、連帯責任、五人組思想、こういったものは外国人の目から見ると異様でしょうねぇ。
外国人力士や日本人の若手力士は思っているのではないでしょうか。「どうして何もやっていない人までペナルティーを受けるのか」と。しかも、身内どうしの花札バクチのようなものまで含まれ、「何十年もスルーされていたものが、なぜ、今さら?」という感も有るでしょうねぇ。いままで何回か書きましたが、外国人や最近の若い人には、「ルールの説明が無かった、あるいは、やっていても注意されない」、こういったことは「GOサイン」が出ているのと同じなのでございます。今まで散々黙認しておきながら、社会の風潮に押されて急に大きく舵を切った相撲協会のやり方に、そりゃぁ、ひとこと言いたくなるのも、無理はないのでございます。
で、今回の名古屋場所の生中継の中止ですが、すでに相撲協会へ支払い済みの放送権料は中止しても戻ってこないとのこと。え? 国民の受信料でまかなわれているNHKが、そんな金をドブに捨てるようなことしていいのか! 国民はもっと怒るべきでございます。これが一般の上場企業であれば、株主から総攻撃を受けるような事態でございます。どうも、NHKも予算的にはお役所感覚ですよね。政治家の金銭感覚が麻痺しちゃっている今日ですが、NHKの金銭感覚も最近の政治家と変わらないのでございます。
ワタクシは、どうして一部の力士の賭博問題が、放送そのものの中止にまで帰結するのか、その因果関係が全く分からないのでございます。これは、政治的な力がNHKに働いているのでしょうか? どう考えても、「制裁」行為としか思えないのでございます。相撲協会の上層部に鉄槌を下ろす手段として、たまたま時期的にタイミングが重なってしまった名古屋場所の中継が、“利用”されたのでございましょう。権力者同士の政治的な駆け引きに利用された名古屋場所こそ、迷惑な“トバッチリ”なのでございます。
賭博に関与していなかった力士たちが「あぁ、真面目にやってきて良かった」と思えるような、そして相撲興行に関わる業者さんなどが「なんとか踏ん張って、相撲を支え続けていきたい」と思えるような、そんな未来がある持って行き方ならば、これからの進展に期待が持てるのですが、現場の人たちは、「何もしてないのにトバッチリだ」とか、「安心して商売できないよ」とか、思っているのではないでしょうかねぇ。残った人たちをくさらせないということも、相撲業界の未来を考える上で重要だと思いますよ。
さて、この制裁問題を、強引にお店や会社の運営に例えてみるのでございます。従業員の中に違反行為があった場合、当然ペナルティーを課しますよね。これが明らかに責任がはっきりしている違反ならば、当事者だけにペナルティーを与えればいい。けれど、「全体的に緊張感がない」という漠然的なものとか、「いつの間にかルールが有名無実になり、多くの者が違反している」なんてときにはどうするか? 全員に連帯責任としてペナルティーを課しますか? あるいは現状のルールをさらに厳しくしますか?
責任者というもの、つい構成員全体を「チーム」として考え、連帯責任を負わせたくなるのですが、一部の真面目にやってきて結果を出している人には、「私の努力は何だったの?」と思わせることになってしまいかねません。では、連帯責任ではなく、真面目な人、結果を出している人を優遇したり報奨するという方法もございます。“ご褒美で釣る”という考え方でございますね。これも、褒美に釣られない欲のない人にはあまり効果がなく、全体の志気がチグハグになったりいたします。
褒めたりご褒美を与えることが良い結果に結びつく人もいれば、厳しくルールで縛り尻を叩き続けてうまく行く人もいたりいたします。いろいろな人が混じっているゆえに、ご褒美で釣る、ルールで縛り緊張感を持たせる、真面目にやっている人に何らかの救済措置、こういった飴と鞭を織り交ぜながら全体の志気を上げていくことになるのでございます。この飴と鞭のさじ加減が、難しかったりするのでございますけどね。
話を名古屋場所に戻しますと、真面目にやってきた人に対する何らかの救済措置が有っても良かったのではないでしょうか。せめて賞金や賞が今までどおりにならば、残った力士たちは張り合いが出たでしょうに。NHKは、公共放送という立場にも関わらず、そして国民の受信料で維持されているにも関わらず、その放送権を政治的制裁に利用するというのは言語道断であると、ワタクシ、キッパリと断言いたします。いいかげん日本も、江戸時代の五人組制度から脱却しましょうよ。連帯責任というのは日本の国民性でもありますから仕方がないとしても、残された人たちへの救済措置は欲しかったですねぇ。
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