みなさま、お久しぶりでございます。名古屋薫でございます。自分のお店のホームページの方は、こまめに更新しているのでございますが、すっかりメールマガジンの方がお留守になってしまっております。お店のホームページのワタクシの「日記」に掲載している文章を、よりぬきしてメールマガジンで配信していくつもりでございます。
今回は銀行のATMのお話し。商売柄、頻繁にATMは利用するのでございますが、もうね、あのATMの画面のデザインの悪さにはあきれかえっております。振り込め詐欺にも悪用されるATMの機械。もっともっと使いやすく、もっともっと悪用されにくいデザインというものがあるのでございます。もし、ATMの画面をデザインする人が読んでいらっしゃいましたら、参考にしてくださいませなのでございます。
みなさまがた、数字キーの並び方に、「電話型」と「電卓型」の二種類が存在するのは、お気づきでございますよね。電話などは「1」の数字が左上に来ております。一方、電卓やパソコンのキーボードなどは、「1」のキーが左下に来ております。この二つの仕様を両立させてしまったことは、デジタル技術の黎明期における、最大の失態なのでございます。銀行のATMのように、「金額、電話番号、暗証番号」といった様々な種類の数字を扱う機械では、この数字キーの二つの異なった仕様が、問題になってくるのでございます。
ワタクシが普段よく使うのは、三菱東京UFJ銀行のATMでございます。つい最近も内部ソフトのバージョンアップが有ったようで、画面のデザインが大幅に変わっております。そこで、例の数字キーの扱いでございますが、UFJのATMでは、数字入力する画面では、すべて「電話型」の配置でございます。ところが、ATMの機械には小さな電卓が用意してございますよね。もちろん、その電卓は「電卓型」の配置。まったくもって、チグハグなのでございます。
「数字を入力する画面は、すべて同じ画面を使いたい」そう考えるのは技術屋の性(さが)でございましょう。ところが、人間には「慣れ親しんだ指の感覚」というものがございます。金額を入力する画面では「電卓型」、電話番号を入力する画面では「電話型」のほうが、“しっくり”くるのでございます。すると技術屋は、「画面がコロコロ変わると、利用者が混乱するのでは」と反論することでございましょう。
その技術屋の反論を、みごと解決する方法がございます。電卓型の入力画面では、画面デザインを電卓の絵にしてしまうのでございます。同様に、電話番号の入力画面では画面を携帯電話の絵にしてしまう。不必要な「*」や「#」といったキーも、デザインとしてうっすら添えておけば、もう誰が見ても電話番号の入力画面と一目瞭然なのでございます。
そうそう、暗証番号の入力画面をどうするかという問題がございます。いっそ、暗証番号の入力画面は、数字を横一列に並べるとか、丸く並べるとか、電話型でも電卓型でもない、まったく違う並び方がいいのでございます。ポイントは、「今、暗証番号を入力している」ということが、その数字の並び型で自明に利用者に伝わるということが重要なのでございます。
さて、ワタクシが何を言いたいか。それは、画面デザインや数字の並び方で、今、何の数字の入力画面なのかが、はっきり利用者に伝わるようにするべきだということでございます。振り込め詐欺の犯人などは、まず最初に画面を英語に変えさせておいて、何の作業をしているのかを分かりにくくさせたりいたします。ATMにもう少し明示的なデザインが施されておりましたら、そのような振り込め詐欺は、本当にやりにくくなったはずでございます。
振り込め詐欺がATMの英語表示を悪用しているというのは、早くから分かっていることでございました。でしたら、ATMの技術者は「バイリンガル」などと気取らずに、すべてのページで日本語・英語の並列表記を採用するべきだったのでございます。また「お待たせ中」のアニメーションも、矢印が点滅するだけなんて、まったく手抜きでございます。そのとき実際に行われている作業をアニメーションで表示すべきでございます。
振り込み作業ならば、二つの通帳の間を羽根の生えたお札が飛んでいくアニメーションなどがよろしゅうございますね。もし振り込め詐欺で騙されている人も、お札が逆方向に飛んで行くアニメーションを見れば、すぐに気がつくはずでございます。そして、いつでもすべての作業を中止できる「エマージェンシーボタン」を必ず表示しておけば、たとえ騙されそうになっても、気づいた時点ですぐに作業を中断することも出来るのでございます。
そしてさらに、数字の並び方やボタン配列のような基本的な仕様を、すべての銀行で統一すべきでございます。様々な仕様が乱立するから、利用者側に混乱が発生する。そして、振り込め詐欺を行うような人は、その混乱につけ込んで悪用しようとする。残念ながら、現状のATMはスキだらけなのでございます。機械に慣れた技術者だけで設計をするのでなく、心理学や認知科学の学者なども交えた、グローバルな設計が望まれるのでございます。
人間と機械との接点を「マンマシンインターフェース」と呼んでおります。このマンマシンインターフェースに統一感や区別を設けることで、人間のウッカリ操作というものを未然に防ぐことが出来るのでございます。たとえば、車のアクセルやブレーキの位置は、どの車も同じ。「つまみ」は右に回すと「大」。トイレの看板は男が「黒」、女が「赤」とかとかとか...
そうそう、このマンマシンインターフェースを応用すればいいのにと思いながら、なかなか実現しないものに、エレベーターの「開」ボタンと「閉」ボタンがございます。あれ、まぎらわしいですよね。「“ひらく”ためのボタンは、“とじる”ためのボタンより必ず大きくなければならない」なんていう法律がもし有ったら、エレベーターのボタンは、ずっと、ずっと、使いやすくなっているはずなんですけどねぇ。
ということで、ATMの機械に限らず、人間と機械の接点をちょっと工夫してやると、人間のうっかり操作というものをかなり防げるのでございます。と同時に、悪人が悪用するというスキも与えずにすむのでございます。ところが、技術者が作る道具というものは、どうも「機械にとって都合がいい」設計に偏る傾向がございます。「人間にとってわかりやすい」設計というものが、世の中の様々な面で、もっともっと重要視されるべきだと思ったりいたします。
ということで、次回をお楽しみに。名古屋薫でございました。
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