愛・地球博、傾向と対策 後編
先週に引き続き、愛・地球博がテーマでございます。もう、中部地方のTV番組は愛・地球博関連番組がめじろ押しでございます。昨日の夜からひと晩中特別番組を放送しているかと思いきや、今日も朝から生中継でございます。その特別番組が口をそろえて「35年ぶりの万博」ともうしておりますが、はて?、さて?、沖縄海洋博や筑波や花博は?? そこで、ワタクシ名古屋薫、ブチ切れでございます。これはおかしい! なにか裏がある! ワタクシ、真相を追求すべく万博関連の資料をむさぼり調べたのでございます(いや、ちょっとWebで検索しり、本を読んだだけでございますけどね)。
まず、国際博覧会事務局(BIE)が定める博覧会には、やや格が上の“一般博”とちょっと格下の“特別博”、そして別枠の“園芸博”が定められているのでございます。1970年の大阪万博は一般博、それ以外の沖縄(1975)と筑波(1985)は特別博、大阪花博(1990)は園芸博ということなのでございます。そこで、愛・地球博が“一般博”であれば、「35年ぶりの一般博」として愛知県民は胸をはって自慢出来るのでございますが、話はそう単純ではございません。
実は、愛・地球博も特別博として申請されているのでございます。ところが、申請後に博覧会の分類が変りまして、一般博と特別博は“登録博”という新しいカテゴリーとしてまとめられてしまったのでございます。一般博と特別博の区別がなくなったドサクサにまぎれて、一般博を気取っているというのが真相ではないでしょうか?
しかし、一般博と特別博の区別がなくなったのでございますから、やはり「35年ぶりの万博」というのはおかしいのでございます。もっとも、外務省のサイトでは花博以来の「15年ぶりの国際博覧会」とうたっているのでございまして、35年ぶりと言っているのは地元のマスコミばかりでございます。放送局や新聞社総ぐるみで世界中に見栄をはろうとするそのやりかた、まったく、名古屋人気質全開でございます。まぁ、本質とは関係のないところで見栄をはるということ、名古屋人にやらせたら天下一品でございます。
ちなみに、現在のBIEの規定によりますと、“登録博”とは別に、もっと規模が小さくテーマも絞り込んだ“認定博”というのを定めています。また、昨年静岡県で開催された「浜名湖花博」などの地方自治団体が行なっているものは“地方博”と呼ばれ、BIEとは関係なく開催されるものでございます。
さてその「愛・地球博」でございますが、35年前の大阪万博を知っている方々なら、ついつい比較してしまうものでございますが、それはちょっと酷(こく)というものでございます。そもそも大阪万博のころは、好景気で資金も豊富、環境問題もあまりなく、やりたいこと何でもありの“浪費万博”でございました。
それに対し、愛・地球博は何事にも節約を迫られる“エコ万博”でございます。しかし、“エコ”を広く唱えようと思っても人が来なければお話しになりません。人が集まるような博覧会を催そうと思ったら、そこには浪費がつきまとう。今回の博覧会は、最初から自己矛盾をはらんでいるのでございますから、主催者側も大変でございます。
その矛盾に関しては、また別の機会にお話しするとして、今回は前回のお話しで申し上げました、「重要な問題」に関してなのでございます。病人や死人を出すかもしれないという重要な問題でございます。と言いましても、一週間ほど前の内覧会であらかたの問題点は出尽くしたようで、この問題点に関しても、ちらほら言われているようでございます。その問題とは、名古屋の夏の暑さと飲料水の供給量の問題でございます。
名古屋の夏は想像を絶する暑さでございます。普通の夏は、多少気温が高くても日陰に入ったり風が吹いたりすれば涼しいものでございます。しかし名古屋の夏は魔物でございます。日陰に入ってもジットリと汗がにじみ出てまいります。風が吹いても湿度の高い生暖かい風で、ますます暑くなるのでございます。例えて言うならば、オーブンの中でジリジリと焼かれるような暑さなのでございます。
そして、会場となっているのは元青少年公園と呼ばれた公園でございます。ワタクシ、学生時代に部活の合宿で夏場よくこの公園を利用いたしましたが、まぁ暑いわ風は吹かないわ、夏場は大変でございます。そこで重要なのが水分の補給。しかしながら、今回の万博では、ペットボトルの持ち込み禁止などもございまして、飲料水の確保がかなり難しいのではないかと想像出来るのでございます。
「中で買えばいいじゃない」と思われるでしょうが、内覧会でも十分に混乱しているありさま、混雑時に長蛇の列ができるのは簡単に想像できるのでございます。売り場や飲食店の長い列をみて、ついつい食事や水分補給を我慢しているうちに、熱中症に...なんてシャレにならないでしょ。水筒の持ち込みはできるようでございますが、今から夏場の飲料水の供給能力に関して、主催者側に考えていただきたいものでございます。
もちろん、ディズニーランドやUSJ(ユニバーサル・スタジオ・オブ・ジャパン)などでも、持ち込みに関する決まり事というのはございます。しかし、そういったアミューズメント施設では、もちろん商売でございますから「入場者に納得してもらう」という気構えでは徹底しております。また、入場者の希望や不満に関しては、柔軟に対処するという「聞く耳」も持っております。
ところがところが、愛・地球博の場合は、どうみても「お役所仕事」に見えちゃうのでございます。大量の入場者をさばくということに関しては、各アミューズメント施設は十分なノウハウを持ち合わせております。また、コンビニエンスストア業界や、ファーストフード・ファミリーレストラン業界といったものは、飲食物を適時適量で柔軟に供給するということに関して、これまた十分なノウハウを持っております。
内覧会ごときでかなりの混乱を起こしていることを考えますと、これから先の半年間、特に入場者が集中したときの混乱が心配でございます。交通機関の不備も、早くから外部の鉄道会社から指摘され、慌てて対処したりしておりましたしね。人をさばくノウハウ、飲食物を供給するノウハウ、そしていちばん重要な「赤字を出さない」ノウハウ。こういったことにかんして、どんどん各方面の知恵(叡智)を聞く耳を持っていただきたいものでございます。
さて、ワタクシは大阪万博をかすかに覚えている年代でございます。ワタクシが大阪万博に行ったときは大変な混雑で、パビリオンはほんの数館しか入れませんでした。しかし、当時の未来的なデザインに囲まれた会場は、子供心にすばらしい夢と思い出を与えてくれました。
小さなお子様をお持ちの方、ぜひお子さんを今回の愛・地球博に連れて行ってあげて下さい。小さな子供さんにとって「夢を見る」ということはすばらしい財産でございます。ディズニーランドやUSJの夢もよろしいでございますよ。しかし、万博で見られる夢には「本物」が混じっております。技術者が夢を見、そして実現させた本物の夢がございます。リニアモーターカーやロボットなどがそういうものでございます。どうか、小さな子供たちに「本物」を見せてあげて下さいませ。
そしてまた、万博には「未来に対する夢」もございます。テーマパークの夢が、実現不可能な魔法の世界の夢であるのに対して、万博の夢はこれから実現可能な現在進行形の夢でございます。どうか子供たちを、その未来への線路に乗せてあげるつもりで、万博に足を運んでいただきたいものでございます。
では、今回はこのへんで。これだけプッシュしておけば、万博協会から何かもらえるかな?...なんてことは、決してないでしょうね。ではでは、名古屋薫でした。
【愛・地球博 ホームページ】
http://www.expo2005.or.jp/jp/
【国際博覧会事務局(BIE)】
http://www.bie-paris.org
【参考文献】
・『愛・地球博 公式ガイドブック』(¥1,400 小学館)
・『愛・地球博 公式ガイドブック ジュニア版』(¥1,000 小学館)
・『虚飾の愛知万博』(前田栄作著 ¥1,000 光文社)
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