やられ放題の一年、最後ぐらいはやりたい放題でいこうよ
年末でございます。今年は暖冬かと思いきや、年の瀬を迎えての急激な厳寒の到来でございます。朝から、雨混じり霙(みぞれ)混じりの雪降る名古屋からお送りする、『名古屋薫のShe-Mail』でございます。
さあ、大晦日でございます。大晦日と言えば「紅白歌合戦」でございます。先日たまたま、その紅白歌合戦がらみの書籍を見つけまして、まぁ読んでおりました。『怪物番組 紅白歌合戦の真実』(合田道人著 幻冬舎)という本でございます。紅白に出演したスターの裏話・楽屋話を綴った本なのでございますが、内容はそのスターの話にとどまらず、(案の定)紅白歌合戦そのものが持つドロドロとした裏事情にも触れているのでございます。
紅白に出ると歌手のギャラが上がる、紅白に出るとレコードが売れる、紅白に出るとハクが付く、なんていう事実が有ったようでございます。あるいは、辞退することでスター自身のプライドが保たれるなんていう逆の一面も有ったようでございます。そのような事情をバックグラウンドといたしまして、紅白歌合戦という歌謡番組は、芸能界での政治的道具として使われていくようになってきたわけでございます。もっとも、このドロドロとした裏事情は、一般の視聴者にも感じられたことでございますけどね。
そうした裏事情や、ニューミュージック界の出演辞退症候群なども有りまして、やや輝きを失いつつある紅白歌合戦とは裏腹に、その歌合戦の弱みを逆手に取るような番組が登場してくるのでございます。「ザ・ベストテン」などはそうでございましたね。レコード会社や放送局の思惑が見え隠れせず、純粋に現在進行形の「売れている」人が出演するというオープン思想は、当時としては全く画期的でございました。
その、ザ・ベストテン時代に人気を博したアイドル達が、ここ数日の間、TVをにぎわしておりました。ピンクレディー、松田聖子、岩崎宏美、中森明菜……アイドルがアイドルたるゆえんでしょうか、四半世紀が経った今でも、その存在感には堂々たるものがございます。青春時代に聞いた曲というのは影響力が大きいのでしょうか、かのアイドル達の歌声を聞いておりますと、青春時代の思い出が、まるで加湿器から吹き出す水蒸気のように湧き上がってくるのでございます。
紅白歌合戦という番組は、「今年一年に流行った曲を聴きたい」という要望に答える部分が多いのでございますが、上記のアイドルのように「この歌手なら、ぜひともこの曲を歌ってもらいたい」という懐古的要望に答えている要素もあるのでございます。一般視聴者のそのような要望が十分反映されていればよろしいのでございますが、実際には「アレッ」っと思わされることが多かったりするのでございます。歌謡番組を製作する媒体としては、NHKというのは非常に好都合なはずなのに、残念でございます。
というのも、NHKならば、本来スポンサーやレコード会社の思惑に影響されずに番組作りが出来るはずなのにという点でございます。そしてもうひとつ、(なぜか)大変な予算を掛けられるという点でございます。あ〜、残念! しかし、この2点を有効に活用した好番組がございます。古くは『音楽・夢コレクション』、最近では『夢・音楽館』といったところでございましょうか。民放でいうと『タモリの今夜は最高』なんていうのが、同じように“やりたい放題”歌謡番組の類でございますね。
歌手が自分の持ち歌以外の曲を歌うというのは、歌手側にもスタッフ側にも大変負担が大きいものでございます。選曲・編曲・セットなどを、全くオリジナルで歌謡番組を作ろうとすると、それはもう『新春スター隠し芸大会』の域に達してしまいます。そう考えますと、現在の紅白歌合戦の選曲や構成は、まぁまぁ理にかなった理想的なものなのかも知れません。ただ、今の紅白に欠けているもの、それは、出演者が“出てみたい”と思う番組ではなくなっていることでございます。紅白歌合戦の歴史的背景がそうさせたのでございますから、自業自得でございます。重ね重ね、残念! でございます。
今年のNHKは不祥事など有りまして、今回の紅白はその出演者の確保などで大変だったようでございます。その結果、本来次点だった方が当選したような事例もあるようで、なかなか興味深い演目になっているのではないでしょうか? 災害の多かった年ということもありまして、多少お祭りムードに水を差してはおりますが、さて、今年の紅白はいかがなものでございましょうか? といったところで、今年最後の「名古屋薫のShe-Mail」を締めくくりたいと思います。
では、みなさんよいお年を。そして、来年もよろしくお願い申し上げます。名古屋薫でした。
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