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2001/09/24

悲しい9月ですね−名古屋薫

お久しぶりです。名古屋薫でございます。

私が幼少の頃、世界一を誇るバベルの塔がございました。“エンパイア・ステート・ビルディング”という名前の塔でございます。

ある日、その世界一の座を譲るような、さらに大きな二本の塔が新たに出来たのでございました。まるで双子のようにそっくりな真四角の塔でございました。

その双子の塔はその高さで、そしてその塔を造った人たちの誇りや自信の象徴として、世界一の座に君臨し続けました。そして、長い年月が過ぎました。

ある日、悪意の大鷲が二羽飛んできたのでございます。二羽の大鷲はその二本の塔に吸い込まれるように飛び込んだのでございます。

悪意の大鷲は、多くの潔白(けっぱく)の命を巻き沿いにしながら、散っていきました。

双子の大きな塔は、ぎりぎりまで堪え忍んでおりました。しかしながら、最後の鉄骨がその歪みの限界を超えたとき、大音響とともに崩れ落ちたのでございます。

  多くの命が、本当に多くの命が、その出来事で散っていったのです。

待ちわびる家族の顔を思い浮かべながら無念のまま散った命。

我が子だけは助けたいと、力強く子供を抱きかかえながら散った母子の命。

一つでも多くの命を救いたいと勇敢に飛び込んでいき、運命を共にした消防士や警察官の命..............................................................................................................

悪意の大鷲が壊したかったもの、それは、双子の塔を造った人々の威厳や自信だけだったはず。それほど、その象徴を破壊したいのならば、象徴の抜け殻だけを壊せばいいはず。多くの潔白の命を巻き添えにする必要はなかったはず。

主義や主張の戦いならば、それは“感動”を持ってしなければ、人の心は動かせないはず。感動があり、その感動の向こう側に喜びが見えているからこそ、人はその主義や主張に賛同できるもの。

しかし、悪意の大鷲が人々に与えたものは“恐怖”。恐怖というものは人の心を頑(かたく)なにしてしまうもの。そしてさらに、恐怖に対しては恐怖で報復...人の心はそのように動くものでございます。

今、多くの仲間の命を奪われ尊厳を傷つけられた人たちが、報復という行為を考えております。国家的な報復もあれば、個人レベルの小さな報復もあるようでございます。

そしてその考えのもと、特定の宗教の人々が、いわれのない迫害を受けております。中には、ある人物に似ているというだけで命を奪われた人もございます。そもそも、悪意の大鷲の行為は何ら宗教的な根拠は無いはずなのに。

傷つけられた人々が、無実の第三者を傷つけることによってその鬱憤(うっぷん)をはらす。恐怖に対して恐怖で対抗するのであれば、それば悪意の大鷲の仕業と同じこと。小学校のイジメと何ら変わらない行為でございます。

大勢の命が訳もなく奪われたのですから、怒りや憎しみが沸き上がらないはずがありません。人間ですから当然でしょう。しかし、その怒りや憎しみの矛先は、決して間違えてはいけません、決して。

何がいけなかったのか? どうしてこんな悲惨な出来事が起こったのか。

それは歴史が答えを出してくれることでしょう。しかしながら、本当に冷静な答えが出るのは、何百何も後にならなければ無理でしょう。当事者がすべて死んでいなくなった遠い未来。恨み、辛みが消えて、単なる史実として今回の出来事を見られるようになったときでなければ...

一方、その傷つけられた人々の心をいやそうとする魂がございます。数日前に多くのミュージシャンがチャリティーコンサートを開きました。彼ら芸術家達は、きっと自分たちの出来ること、自分たちの役割を本能的に理解しているのでございましょう。

芸術家に出来るのは人を感動させることだけ。しかし、その感動こそが、人の心を変えられるということを彼らは本能的に知っているのでございます。

あんなすばらしい生き方をしてみたい。あんなすばらしい人になってみたい。あんな感動を与えられる人に自分もなりたい。そういった、“人を感動させたい”という衝動があらゆる音楽や美術や文学作品の中に散りばめられているのでございます。

そして、偶然、そのような感動を人々に与えたいと願って、作曲をしたミュージシャンを見つけたのでございます。佐野元春さんが今回の出来事にむけた新曲をWeb上で公開しております。期間限定(9/25まで)で視聴(RealAudio)またはダウンロード(mp3)出来るようです(締め切り直前でごめんなさい。気づいたのがちょっと遅くて)。(※現在は、iTunes Storeで購入可能なようです)

<give pease a chance>
佐野元春「光」 "The light"
http://www.moto.co.jp/light/

いろいろと、格好いいことばかり書いてしまいました。単なる理想論だと言われればそれまでかもしれません。しかしながら、理想を語らなければ現実を語れません。現実を十分把握しなければ、理想に向けて一歩を踏み出すことは出来ません。

大切なのはすばらしい理想を持って、そうなりたいと常に願うこと。すぐに変わることは出来なくても、常に思い続けていることによって、知らないうちに理想に近づいているものでございます。

そのすばらしい理想が、多くの芸術作品の中に散りばめられているのでございます。そして、感動したいと願い、また、人を感動させたいと願うこと。そういったすばらしい感動に触れているうちに、恨みや辛みといったものが人々の心の中から消えていってくれればいいな、そう思います。

最後に、ワタクシのメールマガジンを首を長くして待っていらっしゃった方々、お待たせして申し訳ございませんでした。これからも末永くおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

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