夏木マリコンサート、マッドフレンチってご存じ?
全国の皆様、そして遠く海の向こうの皆様、一ヶ月ぶりの『名古屋薫のShe-mail』でございます。正月早々、立て続けに配信する事が出来、皆様方よりご好評をいただいてちょっと油断してしまった名古屋薫でございます。
ちょうど2月からお店のショータイムが切り替わり、この一ヶ月間というものは、そのショーの準備でかかりっきりでございました。「席に着けば漫才師、暗くなれば踊り子、昼間歩けばただの変態」などと自分のことを称しておりましたが、今回は「自宅にいるときはお針子娘」なのでございました。ホステス、ダンサー、歌手、振付師、衣裳作製師、エッセイイスト(えーとっ、他に何かあったっけ)といろんなことをやっておりますが、あまりに手を広げすぎて自分でも息が切れかかっている状態なのでございます。一般企業でも多角経営に手を広げすぎるというのはあまりよいものではございません。名古屋薫はましてや個人営業(?)、なおさらなのでございます。
さて、私が大変敬愛申し上げておりますアーティストの方が三人ほどおります。
夏木マリ
池端慎之介(ピーター)
美輪明宏
(敬称略)
の三人でございます。この三人に共通していることとは何でしょう。えっ、三人とも「オカマ」ですって!! 確かにピーターと三輪明宏はオカマ(ゲイボーイ)ではありますが、夏木マリは「オカマ」ではなく「オカマっぽい」のでございます。実は実は、この三人に共通するのは『シャンソン』なのでございます。三輪明宏のシャンソンは有名ですが、ピーターもコンサートではシャンソンを歌いますし、シャンソンのCDも出しています。では、夏木マリのシャンソンって?? 意外ではありませんでしたか? 今回のShe-mailはその夏木マリのコンサートのレポートなのでございます。
時は1月30日(日)、場所は東京天王洲アイル。名古屋在住の名古屋薫は、眠たい目をこすりながら東京まで馳せ参じたのでございました。このコンサートの正式な題名は
Piaf2000
〜夏木マリ Mad Frenchを唄う〜
でございます。このMad Frenchという言葉、パンフレットの中では、「フレンチ狂」と訳しておりますが、私はむしろ、「ドロドロなフレンチ」といった感じで受けとめております。まさしくその通り、夏木マリの唄うフレンチは「ドロドロ」なのでございます。
日本でシャンソンといえばまず思い出されるのは越路吹雪。そして岩谷時子という作詞(訳詞)家の方が有名なのでございます。ただ、この方々を通じて日本にシャンソンというものが広まったときは、まだ日本は戦後の動乱期の中なのでございます。暗く落ち込んだ人々に少しでも明るい歌をと、必然的に日本のシャンソンはアッケラカンとした脳天気な歌になっちゃったのでございます。
しかし、本来シャンソンには暗いドロドロした人間くさい要素を持っているのでございます。それを忠実に表現しようとしたのが三輪明宏、そして、その三輪明宏と越路吹雪の中間の表現をしているのが、ピーターなのでございます。三輪明宏のシャンソンもドロドロ感の強いものなのでございますが、夏木マリのドロドロは更に強烈なのでございます。
シャンソンといえば『愛の賛歌』が有名。今回のコンサートでも曲目の中に入ってはいたのですが、もう、ほとんど原曲のイメージをとどめていない状態。シャンソンにあまり詳しくない人が聴いたら、まずこの曲が愛の賛歌とは思わないでしょう。また、伴奏も伝統的な(?)シャンソンにこだわらず、むしろ今風の新しいアレンジで新鮮な感覚なのでございます(ちなみにバンド編成はピアノorキーボード、ドラム、ギター、ベース。アレンジは江草啓太という方)。
パンフレットの中で、永瀧達治(フレンチ狂家元)という方がこんな言葉を寄せております。
(最近の芸術が薄っぺらくなるのを憂いて)薄っぺらになることではフランスもまた例外ではないが、パ・コム・レゾートルという言葉で「人と違うこと」を誇りにする品性がある。その点のみにおいてフランスには、今も、まだ表現者にとっての希望がある。Mad French(フレンチ狂)とは日常の損得や暮らしの安逸を越えて、どうしようもない人生、パ・コム・レゾートルの道を歩むことである。(以上、コンサートパンフレットより抜粋)
この永瀧達治さんは「夏木マリに夢中だ」と訴えております。私名古屋薫も夏木マリを大好きでございます。『印象派』を5年間続けている夏木マリが大好きでございます。「絹の靴下」をいっさい歌わなかった夏木マリが大好きでございます。しかし、今回のコンサートでロックバージョンの絹の靴下を歌った夏木マリも大好きでございます。気取らずに自分に正直に生きている夏木マリ、時々眉毛を書かない夏木マリ、たばこの似合う夏木マリ、オカマみたいな夏木マリ、苦しくても夢を捨てなかった夏木マリ、そして他人にも夢を持ち続けなさいと訴える夏木マリ、頑固な頑固な夏木マリ...そんな夏木マリが大好きでございます。
今の世の中、他人と違うことをするっていうのは大変勇気がいる時代になってしまっております。そのような時代の中で、夏木マリは自分のやりたいことをやり通しております。『印象派』という舞台はとても一般受けしにくい舞台です。初回の『印象派』では、上演の途中で席を立つ観客もおりましたが、現在では芸術賞を受賞するほどに評価されております。
また、アイドル歌手の頃の自分を切り捨てたかったのでしょうか? 「絹の靴下」という大ヒット曲を全く歌おうといたしませんでした。アイドル時代の曲を期待して来ているディナーショーのお客に対しても難しい曲を歌ってお客を当惑させたりしたこともありました。しかしながら、今回のコンサートではアンコール曲ではありましたが、ロックバージョンの絹の靴下を披露したのでございます。私は、そこに何か心の呪縛が吹っ切れたのではないかと思うのでございます。
アイドル人気が衰えて苦しい時代にあえてレッスンに励み自分を磨き、夢を捨てなかった人。そして他人にも「夢は実現する、夢を持ち続けなさい」とうったえる人。そんな人だからこそ、そこから表現されるものにも厚みがあるのでしょう。皆様も夢を持ち続けていただきたいものでございます。普段コマーシャルやドラマなどで見る夏木マリとは違った世界が舞台の中には存在します。
夏木マリの所属オフィス「K-LINK's」のサイト内に夏木マリBBSが開設されております。もし興味がおありでしたら、そちらの方もごらんになられてはどうでしょうか?
K-LINK's
※現在は夏木マリ|事務所
また、今回のコンサートでは、「鎮静剤」という曲が私のお気に入りでございます。ローランサンの詩に曲をつけたものでございます。CDも出ております。もしよろしかったら聴いてみてください。
LA MARIE EN SEPTEMBRE ( WILDJUMBO TKCJ-70714)
¥2,200
ではでは、今回はこの辺で。夏木マリに興味がない人にとっては、ちょっと退屈なShe-mailだったかもね。それでは、玉石混交の『名古屋薫のShe-mail』次回をお楽しみに。
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