オカマ言葉のルーツを探せ。その1
ジャッ、ジャーン、あけました新年もアッという間に十日間が過ぎ去って、おとそ気分もすっかり抜けちゃった頃ではないかと思います。名古屋薫でございます。難しい内容が何回か続きましたから、この辺でちょっと軽い話題を。
さて、昨年より予告していたので首を長くして待っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか? オカマ、ニューハーフ、ホモ、ミスターレディー... 様々なセクシャリティに関する言葉が反乱する今日この頃ですが、それらの言葉ってそれぞれ微妙に意味合いが違うんですよね。その辺をちょっと名古屋薫の独断と偏見と思いつきでひもといてみましょうか。
《今回の言葉》
オカマ
ゲイボーイ、シスターボーイ
ニューハーフ
ミスターレディ
ゲイバー、ニューハーフバー、ホモバー
オネエ
【オカマ】
本来はお尻の意。また、お尻を使って商売をする人の意。
もっとも広く使われている言葉ではないでしょうか。3文字で言いやすいというのもあるでしょうしね。「オカマ」というのはお尻のことを指すんですね(注1)。よく追突事故などで「オカマ掘られた」とか言うでしょ。でも「オカマを掘る」っていうのはアナルセックスを意味するわけですから追突されたときにこの言葉を発するのって、考えてみるとすごく下品な表現なんですね。
そこでこの「オカマ」ですが、本来は単純に男娼のことを指します。男娼っていうのは男の娼婦のことです。オカマつまりお尻を使って商売をする人たちだからその人達を「オカマ」と言い始めたのが始まりでしょうね。だからショーパブなどの水商売に従事している人に対してオカマというのは本来はすごく失礼なこと。年輩のゲイボーイ(ニューハーフ)の中にはオカマといわれると怒りだしちゃう人も以前はいました。もっとも、この言葉、広く使われるようになって言葉の意味合いも曖昧になってきたので、本来の意味を知っている人はほとんどいなくなっちゃってますけどね。でも、私たちが自分のことを「オカマ」というのはかまいませんが、みなさんが私たちを指して「オカマ」というのは極力避けた方がよろしいでしょうね。
【ゲイボーイ、シスターボーイ】
水商売で女装して働く人たちの総称。シスターボーイの方が古い言い方。
ゲイボーイ、シスターボーイという言葉はちょっと馴染みがないのではないでしょうか。ゲイボーイというのは女装して水商売に従事する人たちを、「本来のオカマ」と区別していう言葉です。そこで自分のことをゲイボーイという人はプロフェッショナルとしてのプライドをもっている人が多いですね。「自分は男娼じゃないのよ、会話や踊りでお客さんを喜ばしているのよ」という自負の感じられる言葉です。シスターボーイというのはゲイボーイのやや古い言い方。昭和30年頃に女装ホステスが話題になったときによく使われた言葉なんです(まだ私が生まれるはるか前のことです、念のため)。今では死語ですね。
このゲイボーイという言い方、東京の若いニューハーフはほとんど使いません。ゲイボーイという言葉に田舎臭く、古くさい語感があるからでしょう。ゲイボーイというと男っぽさが残る女装をイメージする人も多く、そのためこの言葉を嫌うニューハーフも多いのではないでしょうか。むしろ、関西や地方の方では若くて綺麗な子でも自分のことをゲイボーイと言ったりしているようです。私も東京に出てきた当時は、自分のことをゲイボーイと言って怪訝な顔をされたことが何度か有りました。本当はゲイボーイってプライドをもって使っていい言葉なのにね。
また、自らゲイボーイと名乗る人たちには整形手術などを忌み嫌う人も多いのです。それなども、「テクニックと自らの努力で女を演じているのよ」という自負の現れなんでしょうね。
【ニューハーフ】
出所不明(注2)。おそらくマスコミが作った言葉。最近(ここ15年ほど)の綺麗なゲイボーイを美化して言う言葉。でも、余り綺麗じゃない人にも使ったりする。
ニューハーフっていう言葉、おそらくマスコミが作ったんでしょうね。絶対に英語じゃありませんからね。純粋な和製英語だと思います。さて、‘ニュー’があるなら‘オールド’があるはずですよね。---昔々、その昔、ゴールデンハーフというグループがありましたとさ。そのグループは「黄色いサクランボ」という流行(はやり)歌を歌い、さぞかし人気があったそうな。そのグループ、その名の通り“ハーフ”つまり英語で言うところの‘half-blood’(混血)を売り物にしてそれはそれは老若男女を問わず人気があったそうな。
ゴールデンハーフってみんな知らないでしょうね、30年近く前のグループですから。エバちゃんなんて人気者がいたグループなんです(どうして私が知っているのかって? もちろん私だってまだ生まれてませんよ、もう一度念のため)。そのころは日本人総勢一億人余りが皆、短足胴長の典型的な日本人的体型の頃でしたから、ハーフの美しさがなおさら珍しかったのでしょうね。ハーフつまり混血が一大ブレイクしていたそうです。また、第二次大戦位までは、混血というのはむしろ差別の対象だったりして、“恥ずかしいこと”というイメージが浸透していたようなんです。このゴールデンハーフをきっかけにその様な差別意識って薄れていったんじゃないでしょうか。
ここまでは‘オールドハーフ’の話(オールドハーフなんて単語はありませんから自慢して使わないように)。ニューハーフという単語がいつ生まれたかというと、おそらくバブルの頃じゃないでしょうか。ちょうどそのころからゲイボーイをマスコミが取り上げ始め、雑誌やTVなどにもてはやされ始めたんです。そこで、先に述べたようにゲイボーイというのはどうしても汚いイメージがつきまとう(あくまでも、語感の問題、実際にはゲイボーイと言っている人たちにも綺麗な人は多いんですよ)。マスコミ関係者としては、売り込むキャッチコピーとして昔のハーフのブームの再来と称して新しいハーフ、つまりニューハーフという言葉を作り出したんではないかなと思う次第でございます。
また、以上のようないきさつとは別に整形や性転換をする人をニューハーフ、しない人をゲイボーイなどと区別することもありますが、あくまでもそれは結果としてその様な場合が多いので、言い当てはまっているだけのこと。その様なライフスタイルの違いにこだわりすぎて、ゲイボーイを忌み嫌うニューハーフ、ニューハーフを認めないゲイボーイさん等がいらっしゃるわけですが、マスコミに作られた単なる言葉によって振り回されるというのはとっても残念なことですね。
【ミスターレディ】
この言葉の出所ははっきりしてますね。元は1978年に制作された仏-伊映画“LA CAGE AUX FOLLES”(邦題「Mr.レディ Mr.マダム」)でしょうね。その後、バブルの頃にお昼の定番番組「笑っていいとも!」で、ミスターレディのコーナーが出来てから一大ブレイクしちゃったんです。
一時期はブレイクしたこのミスターレディという言葉も今では死語になっちゃったかもしれませんね。だって、みんなこんな言葉使わないでしょ。私たちだって使わないもの。この言葉も、全くマスコミが作った言葉ですよね。その笑っていいとものコーナーに出演したお友達が私のまわりにも何人かいますが、あのころはニューハーフにとってはいい時代でしたよね。みんながチヤホヤしてくれて。連日TVや雑誌に引っ張りだこ。お店にいらっしゃるお客さんはちょっとしたことでもキャーキャー言って喜んでくれましたから。当時のゲイバーには毎日行列が出来ていたんです。ショータイムを一回終わるごとにお客さんを総入れ替えし、50人ほどはいれるお店が5回転ぐらいしていましたからね。えっ、ゲイバーって何かって? それではご説明いたしましょう。
【ゲイバー、ニューハーフバー、ホモバー】
ゲイバーやニューハーフバーにはゲイボーイやニューハーフが、ホモバーにはホモがいます。
いまだにゲイバーというと革ジャン着たハードゲイの人たちを思い出したり、ホモセクシャルの人たちの出会いの場所のようなイメージを持っていらっしゃる方がいますが、全く違います。ゲイバーというのはゲイボーイやニューハーフ(この言葉を明確に区別するのは前述の通りあまり意味がありませんよね)がお話やショータイムでお客さんを接待するクラブやバーのことです。ホモバーには女装した人はいません。ちょっと柔らかい物腰で丁寧なしゃべり方をする男性(普通はホモセクシャルである。いわゆるオネエ)がお客さんを接待します。
ゲイバーというのはお客さんを選り好みいたしません。男性のお客さんは元より、女性のお客さん、その中間の方々、様々なお客さんがいらっしゃいます。そもそも、会話とショータイムが売り物なので、女性の方でも気軽に来店できる雰囲気があります。また、お酒が飲めなくても普通のクラブやバーほど肩身の狭い思いをしないということもあります。しかし、ホモバーはお店によってお客さんを選り好みします。俗に「観光バー」と呼ばれる誰でもどーぞといった気軽なお店から、ホモセクシャルの人たち専用、あるいは女性、女装全くお断りだったりとか、とかく複雑なのがホモバー。新宿二丁目などに行かれる場合は、事情に詳しい人に付いていって貰うか、お店の方にお店の趣旨を尋ねてから入店されるのが賢明ではないでしょうか。
えっ、オネエって何かって。それは次の項で。
【オネエ】
多分、オネエサンの略じゃないかと思います。ゲイボーイやニューハーフ、ホモセクシャルの人たち等、独特のナヨッとした感じを総称して、あるいは、その人達を、又はその人達のしゃべる言葉を指します。
私たちの話し方には独特のイントネーションがありますよね。おすぎとピーコを思い出していただければいいかと思います。オネエというのはオネエサンの略だとは思いますが、実際のモノホンの女性のオネエサンは私たちのような話し方はしませんよね。あくまでもニューハーフやホモセクシャルの方々独特のしゃべり方です。あのしゃべり方って、物心付いたときからその様な話し方を自然にする人もいれば、苦労して自分を染めていく人もいます。ただ最近のニューハーフは、必ずしもその様なコテコテのオネエではないのが実状です。ニューハーフ=オネエという図式は最近は薄れてきましたね。
あー、くたびれてきちゃった。もっと気軽にどんどん書いていこうと思ったのにずいぶんな量になっちゃいました。この話題はその2、その3と題してシリーズ化していきましょう。以前、タカラヅカに対抗して‘カマラヅカ’を作りたいと書きましたが、カマラヅカを作る前に『オカマ大辞典』が出来そうな雰囲気。名古屋薫はニューハーフ業界の金田一京介になれるのでしょうか。それでは、「オカマ言葉のルーツを探せ。その2」をお楽しみに。次回は、女装、ゲイ、レズ、なんて言葉を考察しようかななんて考えてます。
それではね。次回をお楽しみに。
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(注1)「オカマ」というのはお尻のことを指すんですね。
メールマガジン発送後、ある方から、江戸時代の「陰間(かげま)」の略であると教えていただきました。カゲマのゲが抜け落ちてカマになったそうです。そもそも日本には江戸時代の頃から、あるいはもっと以前から男色の文化があったんですよね。アメリカなどではキリスト教が同性愛を厳しく禁止しているため、逆に同性愛者解放運動が盛んになっているということも考えられます。それに対して、日本の場合は古くから男色が文化として認められているため、“中途半端に”ホモセクシャルや女装者などが市民権を得てしまっているような気がしませんか。この中途半端にというのがくせもので、日本で同性愛者解放運動が今ひとつ盛んにならない理由のような気がするのですが。
(注2)出所不明
これも多くの方からメールマガジン発送後、ご指摘をいただきました。ニューハーフという形容を最初に使ったのはあの伝説の人、六本木美人「松原留美子」さんですよね。この松原留美子という名前、私もよく知っていたのに人から指摘されて初めて思い出しました。全くお恥ずかしい。そこで、この松原留美子さんについて説明いたしましょう。
まだバブルの頃、ある雑誌で六本木美人という特集をやったんです。その時のチャンピオンが後から男性だということが分かったのですが、そのあまりの美しさにマスコミが取り上げ、ゲイボーイというあまり美しくない語感の言葉の代わりに作り出したのが「ニューハーフ」という言葉のようです。ただ「ゴールデンハーフの頃のハーフブームよもう一度」という思惑は当然当時のマスコミにあったと思います。ニューがあるのなら必ずオールドがあるはず。そのオールドに当てはまるのはどう考えてもゴールデンハーフしか考えられないのです(ちょっとムキになっちゃったかしら)。
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(※読者の方からご指摘を頂き、次回の配信で加筆訂正しました)
はーい、名古屋薫でーす。定期購読者の方、お待たせしました。前回の「オカマ言葉のルーツを探せ」は大反響と数々のご指摘を受けまして、私名古屋薫、あらためてマガジンを発行するということの責任と難しさを感じております。私が不十分な知識でいい加減なことを書いていた部分を、何人かの方々が教えて下さいました。まず、その部分の補足説明をいたしましょう。
【オカマ】
陰間(カゲマ)から
まず、オカマの語源から。オカマがお尻の意味だというのは説明しましたが、そのオカマという言葉がどうして生まれたかは言及してませんでしたよね。ある方から、江戸時代の「陰間(かげま)」の略であると教えていただきました。カゲマのゲが抜け落ちてカマになったそうです。そもそも日本には江戸時代の頃から、あるいはもっと以前から男色の文化があったんですよね。アメリカなどではキリスト教が同性愛を厳しく禁止しているため、逆に同性愛者解放運動が盛んになっているということも考えられます。それに対して、日本の場合は古くから男色が文化として認められているため、“中途半端に”ホモセクシャルや女装者などが市民権を得てしまっているような気がしませんか。この中途半端にというのがくせもので、日本で同性愛者解放運動が今ひとつ盛んにならない理由のような気がするのですが。
【ニューハーフ】
松原留美子さんが最初に使いました。
さて、次にニューハーフの起源について。これは多くの方からご指摘をいただきました。ニューハーフという形容を最初に使ったのはあの伝説の人、六本木美人「松原留美子」さんですよね。この松原留美子という名前、私もよく知っていたのに人から指摘されて初めて思い出しました。全くお恥ずかしい。そこで、この松原留美子さんについて説明いたしましょう。
まだバブルの頃、ある雑誌で六本木美人という特集をやったんです。その時のチャンピオンが後から男性だということが分かったのですが、そのあまりの美しさにマスコミが取り上げ、ゲイボーイというあまり美しくない語感の言葉の代わりに作り出したのが「ニューハーフ」という言葉のようです。ただ「ゴールデンハーフの頃のハーフブームよもう一度」という思惑は当然当時のマスコミにあったと思います。ニューがあるのなら必ずオールドがあるはず。そのオールドに当てはまるのはどう考えてもゴールデンハーフしか考えられないのです。(ちょっとムキになっちゃったかしら)
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※【後日談】この「ニューハーフ」という語の生みの親は、サザンオールスターズの「桑田佳祐」さんだというのが、定説になっております。
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