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1998/12/14

愛すべき怪獣だったゴジラと愛されざる怪獣GODZIRA

 このコーナーでは私こと名古屋薫が見た映画をアレヤコレヤとケチをつけようと言うコーナーなのでございます。まあ、全くわたくしの勝手な独断と偏見の固まりのようなコーナーでございますので、ふに落ちない点もござりましょうが、そこのところはお許しのほどを...

 それで、今回はあの悪評高きGODZIRAを見に行ったわけです。なぜ、今更世間が忘れかけてるような映画をとお思いでしょうが、まあ、あまりにも評判が悪いので、それも一見と思ったわけでございます。(以下、日本版のものをゴジラ、今回のアメリカ版のものをGODZIRAとしますね)

さて、そのGODZIRAの一般評ですが、

  「怪獣映画としてはそこそこ良いんじゃない」

とか

  「ゴジラとは全く別のものとして観ればまあまあ楽しめる」

なんてことがけっこう言われていたりする訳なんですが、そもそもゴジラとGODZIRAを比較することがぜーーんぜんナンセンス。この両者の違いは表題のごとく、

  「ゴジラは愛すべき怪獣」

だったのに対し

  「GODZIRAは憎むべき怪獣」

なんですよ。

 みなさん、ゴジラの映画を映画館へもしくはビデオで観たことがありますか? あれだけ大暴れして街中を破壊しておきながらも決してゴジラを殺してしまえなんて思いましたか? ビルを破壊されても東京タワーをひん曲げられても、やっぱり我々は彼(彼女)を愛していたでしょ。そう、ゴジラって私たちにとってはヒーローなんです。愛すべき怪獣、心の友だったりするわけなんです。

 もっとも、私もゴジラの映画を観たのなんてずーとずーと前、細かい内容はよく覚えていませんが、でもゴジラが街並みを破壊しようが火を噴いて焼き払おうがチットモ怖くなかったでしょ。自衛隊のジェット機がゴジラにミサイルを撃ったって心の中では、「そんなのへっちゃらさ、だって、ゴジラだもん」ってあなたも思っていたんじゃない。そう、私たちはゴジラを観るときにはゴジラびいきになってましたよね。大人たちがよってたかってゴジラを倒そうとするときに一生懸命ゴジラを応援してませんでしたか? きっと、小さな子供はゴジラみたいに強くなりたいっておもったかもしれませんよね。そして、いい大人はゴジラを見て普段のウップンを晴らしていたのかもしれません。(もっとも、「オレはひたすら自衛隊を応援していた」っていう人もいるでしょうが、どこの世界にもアマノジャクはいるもの)

 そして、なによりもゴジラには感情があったということなんです。明らかにゴジラは思考していた。キングキドラと戦うときもモスラに悪戦苦闘しているときも何かを考えていましたよね。映画のラストシーンで東京湾を沖へ去っていくゴジラの後ろ姿には何かもの悲しいものさえ漂っていた様にも思えるんです。だからこそゴジラって愛されているんでしょうね。けっして、ゴキブリやトカゲのように本能だけで行動する下等動物じゃないんです。思考する高等な生き物なんです。

 さーて、ここまで読んできたアナタ、もう話の趣旨がわかってきましたか? そう、GODZIRA(こちらのGODZIRAはアメリカ版の方ですよ、念のため)には思考能力がないんです。ただただ本能だけで生きているんです。行く手にビルがあるから壊す、おなかがすいたから捕食する、子孫繁栄の本能に従って卵を産み付ける。こんな、ゴキブリのような怪獣をアナタは愛せますか? ゴジラは世界中でたった一匹のゴジラだった。ところが、GODZIRAは卵をガンガン産み付けウジャウジャ繁殖する。GODZIRAが何百頭もうごめくスクエアーガーデンの地下のシーンは思わず大豊漁のゴキブリホイホイの中を想像しちゃいましたよ。

 かつてアメリカはキングコングという一大ヒーローを生み出したじゃありませんか。あのキングコングも日本のゴジラ同様愛すべき怪獣でしたよね。ものを考え感情を持つすばらしき友であり、長く世界中に愛されてきています。でも、今のアメリカではああいった形のヒーローは出現できないんでしょうね。いやきっと、アメリカ自身がヒーローになりたがっているんでしょうね。ロシア(ソ連)がもはやアメリカの敵ではなくなり、何か仮想敵がないと自分たちの存在意義が見いだせない。自由の国とうたい文句は立派だけど、実際の内情はまだまだ社会的な歪みを多く残している国。そんなアメリカが仮想敵をやっつけてウップンを晴らすといった「アメリカ万歳」的な映画のひとつに落ち着いちゃったってのがこのGODZIRAじゃないでしょうか。(こんな理屈っぽいことを書いているときの私って、本当はとっても照れくさいんですよ)

 だから、GODZIRAっていうのはアメリカがやっつけなきゃいけない敵であり、憎むべき存在であり、醜くなければいけない。それゆえに、GODZIRAはあの様なGODZIRAであり、決してキングコングでもなければゴジラでもないんだと思うんです。むしろ、GODZIRAという映画は「エイリアン」や「プレデター」あるいは「インデペンスデイ」といった映画に近いんじゃないかなって思うんですけど。そう考えるとちょっと納得してきたんじゃないですか? 

 しかし、特撮技術に関しては、日本のゴジラはまったく脱帽ですよね。GODZIRAはとにかく迫力があってリアリスティック。日本の特撮もそれなりにスゴイんだけど、どこか安っぽく見えちゃう。このGODZIRAの製作が決まった頃はほとんどの人がアメリカの最新の特撮技術でゴジラが見れるんだっておもっていましたよね。おそらくアメリカ人のゴジラファンも皆そう解釈していたんでしょうね。私だってそう思ってスッゴイ期待していたんだから。どうか東宝さん、これを教訓に本当にみんなが見たがっているすばらしいゴジラを作ってくれないかな。ゴジラはやっぱり日本人の手でつくってほしいな。特撮部分だけはアメリカに外注して...

【閑話休題】

 映画GODZIRAで最初に日本の貨物船が襲われますが、その船の名前が「コバヤシマル」っていうんですね。それで、最近「スタートレック カーンの逆襲」って映画をたまたま見ていたら、なんと同じように「コバヤシマル」という宇宙船が救助信号を出すというシーンがあるんです。たまたま偶然だとは思うんですが、ちょっとおもしろいですよね。それとも、コバヤシマルという響きに何か思い入れがあるんでしょうか? または、実存の船に差し障りがないように救助信号を出す船の名前は「コバヤシマルとする」なんていう取り決めがアメリカの映画界にはあるんでしょうか。だって、アメリカ映画(TVドラマも含め)では、電話番号を言うときには必ず555-XXXXって言いますよ。電話番号に関してはそんな取り決めがあるらしいんですけど、コバヤシマルに関してはどうなんでしょうか?

◆US版GODZIRAのホームページ
http://www.godzilla.co.jp/

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